近鉄郡山駅から西に延びる、県道144号→189号をひたすら直進すると、突き当りに「矢田寺」がある。
別名「あじさい寺」とも呼ばれており、6月ごろには約60種・10,000株のあじさいが境内を彩る。
また、日本最古の延命地蔵菩薩を安置しており、「矢田のお地蔵さん」とも呼ばれている。
その矢田寺の裏山に、ミニ遍路が設けられている。
大正14(1925)年から昭和のはじめにかけ作られたが、戦後は荒廃が進み、いつしか存在を忘れられてしまった。
そこに、山下正樹さんという方が「矢田寺へんろみち保存会」を結成し、平成17(2005)年から10年の歳月をかけ再興を実現した。
40番まで
本堂から左手に進み、いよいよお遍路道へ。
基本は、ちょっとしたトレッキングが楽しめる山道である。
石仏同士の距離は、けっこうまちまち。
10歩も離れていない距離にあるのもあれば、なかなか見当たらないものまである。
面白いのは、途中しっかりと道案内がされている、といったところ。
石仏は、「本尊」と「大師」が1体ずつペアとなり置かれている。
石仏にはたまに花が飾られたりしているが、ロウソクや線香を立てる台は設置されていない。
時おり、木の枝に白い札がぶら下げられている。
そこには赤文字で、お遍路さんに元気をつけるメッセージが書かれている。
お遍路の大変さを労うものが多いのだが、たまには人生そのものを応援するような言葉もある。
54番まで
40番台に差しかかり、「これでもう中盤か」と、もの足りなさを感じたあたりから、急に石仏の配置広くなり、道の勾配がきつくなる。
ヘトヘトに疲れ、ちょっと休憩をはさみたいな、といった絶妙のタイミングに、休憩小屋が設けられている。
奈良の市街地を見下ろせ、景色に申し分なし。
社交的なほうではないが、同じく休憩中だったご年配夫婦とも、ちょっとした話を楽しむ。
88番・結願
そこからしばらく行くと、今度はこれでもかという、急勾配の下り坂。
道もまっすぐではなく、調子こいて走り降りようものなら、ガケから転落しかねない、少しだけ危なさを感じる。
八十八箇所すべて回り切り、見事「結願」。
なかなか長い時間まわっていた気分であったが、時間にしてちょうど1時間である。
ただの山歩きではなく、目的があるというだけで、こんなに充実感というものは、変わってくるものか。
秋は紅葉もきれいだとか。
ぜひとも、また秋のシーズンに来たいものだ。
訪問日 | 2015年5月30日 |
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所在地 | 奈良県大和郡山市矢田町3549 |
所要時間 | 70分(徒歩) / 4.5km |
参考URL |
【矢田寺公式HP】 【ならリビング.com】 |
備考 | 6月上旬~7月上旬のみ入山料が必要(大人500円、小学生200円) |